パールホワイトのはじまり

「白石せんせー。おめでとうございます」 「はい。おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」 看護師の相田に丁寧に頭を下げた白石にすっと小さな可愛らしいパッケージが差し出された。 「ん?」 「白石先生、ずっとお仕事 […]

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優しい約束

「さっみ」 朝早くに起きだした藤枝は、顔を洗って自分ルーチンをこなす。 リビングのエアコンをつけずに、キッチンでコーヒーを沸かした。 携帯で朝のニュースをチェックしながら、カップを口に運ぶ。 年末の朝は、通常のニュースも […]

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フォグブルーのシャツと香り

どちらかが遅いか、両方とも遅いか。 一緒に暮らしているとこういうことが多い。 一緒に早い、はたぶん一番可能性が低い。 いくつになっても、というか、年数がたてばたつほど、会議や研修から解放されると思っていたが、実際はその逆 […]

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ビスケットのようにカードを拾いながら

「冴島さんってサプライズとか嫌いじゃないですか?」 「なぁに?急に」 川名が休みで、久しぶりに揃って勤務になった雪村が、不意に口を開いた。 カルテを見ながら、運ばれてきた薬をそれぞれトレイに振り分ける。お互いに手は止めな […]

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胸にあるのはForget Me Not

「手、繋いでいい?」 「ん?……ああ」 隣を歩いていた白石に言われて、無造作に手を伸ばした。 控えめにそっと伸ばされた手が手の中に納まる。 伸ばした手の向きが悪かったな、と引き寄せて繋ぎ直す。 「……」 「何?」 「…… […]

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ココロ模様

「ね、行かない?一緒に」 「俺?」 きゃはは、と笑う声が周りにはあふれていて、その姿は皆ありふれた大学生に見えた。 「颯馬ぁ、行こうぜ」 呼ぶ声に振り返った名取はひらりと手を挙げた。 「やめとく」 「なんだよ。付き合い悪 […]

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What color are you?

今、心の色は何色だろう。 怒りや悲しみや不安はなくなることはないけど、一つでも笑顔が増えるように。 少しでもほっとくつろげる時間が増えるように。 [いつもどおり?] 白石はシフト表を眺めてため息をついた。 カレンダーなん […]

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クリアロゼの日

[実は二日目] 三連休なんていう世間とはあまり縁がありそうでない。 シフト上では休みのはずだったが、初日から呼び出された白石は、二日目の昼を回って廊下の片隅のソファに腰を下ろした。 病院は、外来も休診で見舞客も制限されて […]

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サルファーは雷のように

梅雨の天気を心配する。 それはもっぱら、仕事が中心だった。 停電しないか。 病院にとって停電は大敵の一つだ。 すぐに復旧するならいいが、そうじゃない時もある。 ネットで新しい症例報告を読んでいた藍沢は、モニターの片隅に出 […]

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一等星の約束はマリンブルー

「はぁ?わかるわけないでしょ?」 苛立った声が響いて、びくっと周りにいたスタッフたちが顔を見合わせた。 緋山がいる周産期医療センターと翔北は、互いに医者の行き来がある程度には連携がある。医局長になった緋山が、翔北にきてい […]

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